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愛しのあの人

※あてんしょんぷりーず!

立場逆転女体化パロです!エドが少将&女性です!
そんななんでもありのパロディでも許せる方はどうぞ。








その日、ロイは出張でセントラルへと赴いていた。
散々上から嫌味を言われた会議も終わり、はぁと長いため息をつく。
ホークアイ中尉が静かに「お疲れ様です」と労りの言葉をかけた。それほどセントラルに来てからのロイへの風当たりは強い。
ハボックも苦笑しながら「大佐は人気者ッスね〜」と呆れたように言った。
「人気者になりたいわけじゃないんだがな」
ロイは心底うんざりだと言うようにもう一度大きく溜息をつく。
一刻も早く宿に戻ってゆっくりしたい気分だったがそうもいかない。
セントラルに来ている時こそあらゆる面で情報を得なくてはならないのだから。
重い気持ちを引きずりながらコツコツと廊下を歩いて行くと、3人の軍人が話しながら部屋を出て来た。
ロイはちらりと視線を向け、目を見開く。
会いたいとずっとずっと願っていた人がそこにいた。
「大佐!?」
咄嗟に駆け出すロイに、ホークアイ中尉とハボックが驚いて声をかける。そして、その後を追った。

ロイは真っ直ぐに3人の軍人に駆け寄り、その中の1人に盛大に抱きついた。
「もぎゃああーーー!」
「大佐!エルリック大佐!」
思いっきり抱き締め、擦り寄る。金色の長い髪がさらさらと揺れる。
追いついたホークアイ中尉とハボックは、キョトンとしてその様子を見ていた。
「だぁああ!!マスタング!?お前っ、何してっ!」
「エルリック大佐!ずっとお会いしたかった!」
「あーもう!大佐じゃねぇ!今は少将だっ!」
ロイを引き剥がすように抱きつかれたエドワードは叫ぶ。
ホークアイ中尉とハボックは少将だと名乗った若い青年を見て、この状況がどういうものなのか理解が追いつけずにいる。
「もう少将にまでなられたんですね…!」
ロイは抱き締めたエドワードを腕の中に収めたまま言う。
「お前も大佐になったんだってな」
エドワードが相変わらずロイの腕の中でふわりと笑うと、ロイはそのままエドワードにキスをした。
「お、おま!?お前っなにして!!?」
「そうですね…折角再会出来ましたので、とりあえず…入籍はいつにしましょう?」
「しねーーよ!!!」
ギャンギャンと言い合う2人に、おどおどとホークアイ中尉が声をかける。
「大佐…この方は…?」
「ああ、中尉とハボックには話したことがなかったな。この方は私の以前の上司で将来の妻だ」
「だぁかぁらぁ結婚はしねーって言ってんだろ!!!」
相変わらず腕の中に収められたまま、エドワードは叫ぶ。
ロイは金色の髪をさらりと撫でて、エドワードの額にキスを落とす。
「さらさらの金色の髪も、蜂蜜色の瞳も何も変わってらっしゃらない…相変わらずお美しいですね」
「うっせ」
エドワードはロイを引き剥がして溜息をついた。
「ったく、これじゃ先が思いやられるよ。なあ、ラッセル?」
ずっと壁によしかかってエドワードを待っていたラッセルは同意をするように溜息をつく。
「こんなじゃじゃ馬を好きな人間もいるんだな」
ラッセルが、なあ?とエドワードに笑うとロイが眉を潜める。
「じゃじゃ馬とはなんだ貴様。誰です、こいつは?」
眉を寄せたままエドワードに向き直す。
「ラッセル・トリンガム。今の俺の副官だよ」
「どーも、ラッセル・トリンガム大尉です」
ロイは「副官…」と小さく呟く。
「ふ、副官は私だったはず…」
「いつまでも副官を空席にしとく訳ないだろ、お前はもう独立してんだから」
エドワードは呆れたように言う。
ラッセルが「エド、そろそろ…」と小さく声をかけた。
「悪いマスタング、俺もう今日は時間がないんだ。またな」
ロイの頭をぽふぽふと撫で、踵を返す。
カツカツ、と歩き出したところでくるりと振り向いた。
「そうだ俺ももうすぐ東方に行くんだ。待ってろよ」
ニカリと笑ってひらひらと手を振りなら歩いて行く。

ホークアイ中尉とハボックは訳がわからないまま、ロイの背中を見つめる。
ロイは小さく「エルリックたい…少将が私のところに…」と呟くと、くるりと2人の方に向き直った。
「彼女が東方に来る!ふふふ、あー楽しみだ!」
はっはっはっと笑いながら、当初の疲れはどこへやら歩き出した。
取り残されている2人も顔を見合わせて、そして急いで後へ続いた。



(続くかもしれないし続かないかもしれない)