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早い者勝ち? 前編

※あらかじめご確認ください。
ロイエド子←ラセ です。
ロイエド子前提ですがラッセル贔屓かと思われます。
ラッセル・トリンガム好きなので誰かラセエドください(自分で書け)








秋晴れの爽やかな日。暖かな日差しとは裏腹に1枚羽織らないと肌寒い。
エドはいつも通りの赤いコートに身を包み、駅のホームで人を待っていた。

「よう!エド、久しぶり!」

列車から降りる人々の中、金髪の頭がぴょこりと見える。
エドはその見つけやすさにふ、と微笑む。
「久しぶりだな、ラッセル。」
人ごみをかき分けて現れた彼に声をかける。
声をかけられたラッセルは白いシャツにスラックス、茶色いコートを着ており
自分よりも年下とは思えない大人びた様子だった。
「イーストシティに来るのは初めてか?」
エドが問うとラッセルは周りを見渡しながら「ああ」と答えた。
どうやら見慣れない建物に興味津々のようだ。
「とりあえず腹減っただろ?どっかで適当に食おうぜ。」
エドがそう言うと視線をエドに戻してうなずいた。

そこから二人はレストランのテラス席で錬金術の話に花を咲かせていた。
食事には手をつけつつも、話をすることに夢中だ。
「―――でさ、この構築式が――」
「いや、でもその原理で行くと―――」
そうして夢中に話をしているうちにエドがぶるり、と身震いをする。
「…だいぶ冷えてきたな。」
何時間話していたのだろう。
食後にと出されたホットコーヒーはすっかり冷めきっている。
日は傾き、冬が近づいていることを感じさせている。
「話過ぎたな、すっかり晩飯の時間だ。」
「だな…場所を移すか。」
注文もせずに長居していることにも気づき、エドが席を立つ。
それにラッセルも続いて店を後にした。

「そういえばエド。」
ふと、ラッセルが口を開き1歩先を歩いていたエドは立ち止まる。
「どうした?」
「いや、お前最近気になるやつとかいるか?」
エドから視線を外しながら問うと、エドは赤くなって「え、え、」と狼狽える。
「いきなり何聞くんだよ!気持ちワリィな!」
「なんだよ、いるのかよ」
「いや…いるっつうかなんつうか…。」
エドがモゴモゴと言い淀むとラッセルは速足でエドに詰め寄る。
パッとエドの右手を掴むと鼻がくっつきそうな程の距離で言う。
「じゃあ、俺は?」
エドは何とか距離を保とうとするが、力が強くしっかりと捉えられてしまっている。
「は!?や、そんなん考えたことねぇし…。」
「じゃあ考えてよ。」
ラッセルはそのままエドの右手を引いてすっぽりと腕の中に包み込む。
小柄なエドとは裏腹にラッセルは以前よりも更に背が伸びたようだった。
「お前がアル第一なのはわかってる。俺がイーストシティまで来るから。たまに傍にいさせてくれる程度で良いんだ。」
突然の告白にエドはすっかり硬直してしまっている。
「なん…なんで…」
腕の中で真っ赤になって狼狽えているエドが可愛らしく、ラッセルはつい笑みがこぼれる。
抱きしめる腕に力がこもった。
「なんで、かぁ…なんでだろうな。女のくせに強くって弟思いで凄いやさしい奴だって知ってるからかな。」
少し体を離して見下ろすと耳まで真っ赤なエド。
頬を撫でると金色の髪がサラサラと流れた。
「いや、でも俺…!」
ハッとしてエドが身じろぎする。
逃さないよう、ラッセルはエドの両手首を掴んでその小さな唇にキスをした。
「んぅ…!」
逃げようするエドの頭と腰に手をまわす。
エドが苦しそうに胸を叩くので唇を離そうとした時だった。

「――――――鋼の?」

そこには闇に溶ける黒髪と、青い軍服。ロイが立っていた。
ロイはカツカツと歩み寄るとエドの腕を引いてラッセルから引き剥がした。
「え!?え!!大佐!!?」
エドはラッセルとロイを交互に見て驚く。
「鋼の、夜とは言えこんな街中で恥ずかしくないのかね。」
「え?あ!は、恥ずかし…!?」
すっかり暗くなり人通りも少ないとはいえ、道に立ってラッセルとキスをしていたという状況にロイに言われてようやく気付いたエドはボッと音がしそうなほどに赤くなる。
そんなエドの肩を抱えたまま、ロイはラッセルを睨む。
「鋼のに君のような恋人がいたとは知らなかったが。」
「違う!大佐、ラッセルは恋人とかじゃなくて…!」
そのやり取りに、ああエドが好きな相手はこの男なのだと。
ラッセルは負けじと睨み返す。
「邪魔しないでもらえますか。」
「邪魔、ねぇ。どうにも同意ではないようじゃないか。強引な男は嫌われるぞ?」
ふ、とロイが笑うのにラッセルは拳を握りしめる。
「エド、悪い。とりあえず、宿に戻って話そう。」
ラッセルがエドに手を伸ばすと、エドは視線を泳がせながらもコクリと頷く。
そのままエドは歩みだそうとしたが、それはロイによって阻まれた。
「鋼の、この遅い時間に済まないが少し頼まれごとをしてくれないか。」
「え?」
エドがロイを見上げると、ロイは優しく微笑んでいる。
「すまないな、鋼のを少し借りるぞ。これ以上の会話は軍事機密なのでな。」
エドへ優しく微笑んで見せたロイはラッセルを一瞥し、エドの腰に腕を回して歩き出した。




リハビリです。なんか無駄に長くなったので続く。