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sweet sweet 6


「大佐、お届けものです」

目の前に置かれたのはセントラルにある有名菓子店の名前が入った袋だ。
中にはメッセージカードが入っており、どうやら女性からのプレゼントだとわかる。
「危険物ではないことは確認済みです」
中尉が淡々と述べる。
「コーヒーをお淹れします。そちらを食べてしっかりと、お仕事なさってください」
私の机の上の書類に目を向け、厳しく、少しの苛立ちを残しながら執務室を出て行った。

さてさて、と私は袋の中から綺麗な缶を取り出して蓋を開く。色々な形のクッキーが綺麗に詰まっているその中から、一つ摘んで口に放った。
ザクザクとした食感と、バターの柔らかい香り、ジャムの酸味が広がる。その、素敵なバランスにほぉ、とため息までも出てしまう。
パクパク進みそうではあるが、これは私の大切な糖分だ。慎重に食べるに越したことはない。

中尉が戻ってきて、コトリとコーヒーを置く。
「大佐、最近はお菓子がよく届けられますね」
私は内心ビクビクしながらも、用意していた言葉を返す。
「ああ、ブロンドの美人がね私への嫌がらせに送って来るんだよ、困ったものだな」
ハートの形の可愛らしいクッキーを取り出しながら、私は笑う。
「やきもきもしたものだが、漸くまた、手に入りそうな可愛らしい人でね」
クッキーを取り出したそこには、一枚の小さな紙。
短い、殴り書きのような文字でメッセージが書かれていた。
「大佐、それは?」
「ラブレターといったところだ。…ふむ、中尉、そろそろ動くぞ」
中尉にハート形のクッキーを手渡し、私ももう一枚クッキーを口に入れる。
そのサクサクとした食感は軽く、私の心も浮かせるようでなんだかとても幸福だった。

2015.05.31

久しぶりの更新でなんだか雰囲気が違うものになってしまいましたね…